レジェンド・オブ・マナー

ヲタク料理人の雑学

いらっしゃいませ!

ヲタ飯屋です!!

 

自分でお店で働いている時、ご飯を別のお店に食べに行った時。

僕の職業柄、食事中のマナーやお客様の従業員の方達に対する態度をよく見てしまいます。

ティッシュの等のゴミを置いて帰るお客様、お皿をまとめてくれているテーブル等、十人十色ならぬ十席十色。

コロナ禍ではあまりに大きい声のテーブルなんてのも注目してしまう要因の一つになった昨今、これだけでも「マナーがなってない」と思ってしまう世の中になってしまいました。

しかしここで「テーブルマナーとは」を難しく語る事はしませんが、「マナーは進化している」という事を皆さんにお伝えしたいです。

今回は今と昔のテーブルマナーの違いの歴史をお話させて頂きます!

 

 

ご飯に食べに行った時、汚くなったテーブル…特に自分達が使っているテーブル以外の席があまりに散らかっていると、気分を害する人も少なくないと思います。

ただ、それはあなたがマナーが進歩した時代に生まれたからです。

 

日本は…というより世界は最初手で食べていました

料理をするという行程で混ぜる為に「スプーン」の元祖にあたる獣の骨を削った物、石や木を削った物が生まれました。

基本的には手掴みで食べ、地位や身分の高い人間が食事に使うようになっていきました。

ヨーロッパを始めとするキリスト教圏では「スプーンは神聖な物」として、当時「洗礼」に使う事がありました。

家柄や地位の高い人が「銀の匙」、貧困層は「木のスプーン」が洗礼に使われていました。

日本では紀元前にはスプーンがあったそうですが、これまた儀式に使う為の物で大陸から伝わった「お箸」が基本的に使われるようになり、僕達の現在の食文化になっていきました。

ちなみにスプーンは贈り物や儀式の他に接待の為に上流階級の人が使う事もあったそうですが、医者が薬の調合等の医療で使うことから将軍や大名等の高い地位のお抱えの医者を「お匙(おさじ)」と呼ばれたそう。

そして「医者がもう無理だ」と患者を見放す事から、諦める事を表現して「匙を投げる」という言葉が生まれたらしいです。

話はヨーロッパに戻ります。

基本的に手掴みをする文化には理由があり、

「神から与えられた「手」を存分に使うって素晴らしい事じゃん?」

「いかに「手」を美しく食事に使う事が育ちを表すステータス」

と考えられていたのです!

貧困層は手掴みで食事をするのに対して、

親指、人差し指、中指の3本で美しく食べる事を最も美しい食事のマナーとし、5本とも使う人を中途半端な貴族だと笑われるような社会でした。

その名残からティーカップは親指、人差し指、中指の3本で持つ形になったらしいですよ!

そんな時代は紀元前から11世紀頃まで続いていました。

何とフォークやナイフが登場していないのです!

例えばフランスの王族、貴族は物凄くエレガントなイメージはありますが、食事のマナーとしては現在と比べてかなり汚かったのです。

紀元前から続く貴族の食事は自身の財産や地位を周りの人間に誇示する為という一面もあり、夜の食事はパーティーの様に大勢でとる形式が多かったらしいです。

アニメや漫画でお馴染みの「メイドさん」では無く、「奴隷」をお手伝いさんとして会場のお世話をしてもらっていました。

そのお仕事とは

・食い散らかして下に落とした食べカスやゴミを片付ける

・簡易トイレの壺(会場内に設置されている)の管理

・食事の際に着る使い捨ての服を管理

 

信じられないかも知れませんが、古代ギリシャやローマ帝国等の時代はこれが当たり前でした。

そして驚くべき食事中のマナーで、

・おならやトイレは食事を楽しんでいる証拠。

・食べきれない位に出てくる料理やお酒は吐きながらでも食べ続けるのがマナー。

・健康ランドの如く、食事用に着る服は食べカスやソース等で汚れれば汚れる程「粋」であるという風潮

これが古代の貴族のマナーです。

それからおよそ1000年程経ったヨーロッパでの食事はというと、パーティー形式は変わらず自分の家柄の誇示に使う事が多く、みんなで集まってオモテナシをして大人数に振る舞うスタイルはそのまま。

変化というと鹿や猪の焼いた肉を主催者がゲストに「ナイフ」で切り分けるという事が主流になっていました。

この「切り分け」を上手にする能力は領地を統治するスキルの一つとして注目され、これが下手な領主はナメられるというお茶目な風潮があったそうです。

しかしこのお肉に問題がありました。

冷蔵庫なんて当然無く、保存方法は塩漬けにして常温で置いておくという恐ろしい方法しか無い世の中でしたので、みんなでお肉を囲む頃には腐って緑色に変色する事もザラにあったようです。

その臭いを防ぐ為に胡椒などの香辛料が重宝されたのです。

歴史の人物で言えばバスコ・ダ・ガマがインドにパシらされたり、ドラクエ3でポルトガの国王が持って来きたらその代わりに「船」をプレゼントする!とまで言わせた「黒こしょう」はそれ程貴重な物でした。

今の価値観ではありえませんが周りに自分の家柄でマウントを取る為に王族や貴族は必死でした。

だから煮込みや焼く時にハーブで臭みをとる習慣はその頃には一般的になったのです。

余談ですがこの頃の「野菜」は、一般人が食べている土に埋まっている人参や芋等の根菜は拾って食べているとも言えるので、

「そんなモン食えねぇよ!(笑)」

と考えられ、木になる果物やハーブを「野菜」として食べていたそうですよ。

そんな豪華な料理も手で美しく食べる事は変わっていませんでした。

「ナイフ」は食事の取り分けに使われていたのです。

ちなみにその当時のお皿はカッチカチに焼いた平たいパンで、そこに切ったお肉や料理を乗せて食べていました。

あとこのお皿は食べ物ではありませんので、使い終わったら捨てるか下の身分の人にあげていたそうです。

そんな手掴み文化の人々、服は健康ランドスタイルから自分の着たい服を着るスタイルに変化していたので、手についたソースや汚れをどこで拭くか…

そこで登場の「テーブルクロス」です!

あれは今で言うおしぼりやナプキンの代わりに汚れた手を拭く為に引かれた物だったのです。

今それをお店でやると怒られはしないと思いますが、変な目で見られるでしょうし、あなたも変な目をしてしまうと思います。

日本でも似たような風潮があり、江戸時代の屋台で食べた後のちょっとした手の汚れを「のれん」で拭くので、のれんが汚れていれば汚れている程人気だと言うバロメーターであり、「名店の証」とされていました。

話は戻り、そんなフランスの王族に嫁いだイタリアの名家出身のカトリーヌさんという女性が共に引き連れて行ったお抱えの料理人は、その食事が終わった後の野獣が食い散らかした様なグチャグチャな光景にドン引き

イタリアではもう一般化していたフォークやナイフの文化が当たり前だったカトリーヌさんは、本を出版して貴族達に学ばせる程びっくりしたそうです。

これが世界初のテーブルマナーの本

「食事作法の50則」という本です。

 

「オメェ等マジでこれ読んどけ!!」

そんな勢いで世に発表された本には

・食事中にテーブル等にツバを吐いてはいけません。

・食べカスの骨を元の大皿に戻してはいけません。

・鼻をかんだり咳をする時はテーブルを向いてはいけません。

等のギャグ漫画みたいな事が書かれています。

 

一応「フォーク」や「ナイフ」はあったらしいのですが、激動の時代言う事もあり、凶器に使われたら困るので一般化していませんでした。 

そして神聖な物であった「銀の匙」を始めとする「フォーク」と「ナイフ」を食事に使う「カトラリー(ナイフ等の総称)」が使われる事になっていくのですが、その理由は毒殺防止でした。

当時は食事を自分達で作る事が無い王族や貴族に対して有効な方法として毒を盛るという恐ろしい事が横行していました。

その対策として、当時の毒(ヒ素)を銀を当てると変色する作用を利用したフォーク、ナイフ、スプーン等のカトラリーが使われだしたのです。

もし変色したら、

これ毒入ってんじゃねぇか!!」

となるのです。

このように生き残る為に根付いた文化等もあります。

 

国により歴史がありますので発展した道具や様式等はそれぞれ違います。

お箸のアジア、カトラリーのヨーロッパ等ですね。

今では考えられない昔の当たり前なテーブルマナーのお話でした!

時代により変化、進化していくテーブルマナー。

現代の価値観では

そんな事しない!あり得ない!当たり前じゃないか!

と思えますが、そんな現代人も食事、会話の最中にスマホを弄ったり、無断で料理の写真を取ってSNSに投稿する等、昔には無い新しいマナーも増えて行く事でしょう。

紀元前から一貫して言える共通のルールとして、

「食事を楽しむ為の作法」

であるのは変わりません。

手掴みは野蛮だ!…と言ってもお寿司を指で頂くのは「粋」な事であったり、焼き鳥を串のままかぶりつく、ラーメンはすする等の「美学」であったりするケースもありますので、楽しめりゃ良いんです!

お店のスタッフ目線で言わせて頂くと、静まり返ったテーブルよりも話で盛り上がっているお客様の方が楽しんでくれているなと思えます。

どれだけテーブルを汚そうが、グラスを割ろうが喜んでくれたお客様が本当に嬉しいんです。

そこに「ごちそうさまでした」の言葉をくださればもう我々に何も言う事はありません!

「またお待ちしております」としっかりお見送りさせて頂きます!

私情を挟むようですが、そんなマナーの良いお客様はスタッフ側も大好きになります。

素晴らしいマナーは全てをハッピーにするのです!

先人から受け継がれてきたマナーをこれからもマナび、美味しいご飯を明日を生きる為のマナに変えていきましょう!

 

ではみなさん、

またお待ちしております!!

 

ヲタ飯あれ!!

 

 

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楽しいお食事を!!

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