いらっしゃいませ!
ヲタ飯屋です!!
「バジリスク」
その頭には王冠の如き模様を携え、見る者を毒で犯し、その臭いで周囲の生物を殺す。
さらにその猛毒は岩をも溶かし、例えば馬上から攻撃をした槍を伝って毒を喰らわせ、その者の鎧、馬の鞍、そして馬自身を毒牙にかける。
古代から恐怖の象徴とされてきた蛇。
そんな「蛇の中の王」…それがバジリスクです。
ギリシャ語では「王」の事を「バシレウス」と言いますが、その頃から蛇の王として伝説になっているのです。
ちなみにコッカトライスと一緒にされる場合がありますが、それは誤りである。
そこから名前を取った「バジル」!(笑)
何でだ!!
昔の人のセンスはわからん!
今回は「バジル」についてお話させて頂きます!
実はインド原産のハーブで日本にも江戸時代に「薬草」として大陸から渡って来たらしく、日本名で「目箒(めぼうき)」と言います。
マレーシアとインド等の熱帯アジアからヨーロッパへ16世紀になって渡ったそうです。
インドではバジルは神に捧げる神聖なハーブとされていて、エジプトやペルシャではお墓に植えて故人を迷わず黄泉の国へ導いてくれると考えられています。
そんな神聖なハーブが何故食べられているか。
これはその昔、ワンピースみたいな大航海時代の事。
悪魔の実で海賊や海軍と戦う訳ではなく、長期の船旅により食料の問題で深刻な「ビタミン不足」が原因で起こる、
「壊血病(かいけつびょう)」
が船旅での戦いでした。
難しい事はハショりますが、死んじゃう病気です。
冷蔵庫なんてある訳ないし、今程多く港が無いし、あっても敵国な場合もある時代に「ビタミン」を補給する手段は少なかったのです。
人々が「レモン」に辿り着くまでにどれ程の時間を要したのかはわかりませんが、インドのヒマラヤ原産のその果実を食べる事でその恐ろしい病気に対抗する事が出来ました。
レモン自体は今から1,000年位前にはヨーロッパへ持ち込まれていたらしいです。
話を戻しまして、
「壊血病」と「バジル」にはどのような関係があるか。
場所はイタリアの北部のリグーリア州。
リグーリア州というのは平野部が少なく、美しい海と崖みたいな山がそびえ立つ作物を育てるのが難しい土地です。
崖からの山風と海からの潮風でかなり大変な場所なんです、しかも寒い。
そんなリグーリアの港町「ジェノバ」。
アニメ、母をたずねて三千里のスタートでありゴールとしてお馴染みの町です。
今でこそ流通や技術の向上で安価で手に入るレモンは当時は高価で、誰しもが簡単に食べられる物ではありませんし、作れる土地でもありませんでした。
港町という事で沢山の漁師が居るので、やっぱり壊血病が問題になっていました。
そこでバジルのぺーストをオイル浸した物を船に積み、食事の際に食べる事に。
効果はばつぐんだ!
と言わんばかりに壊血病は「解決」し、しかも美味しかったので、バジルのぺーストはリグーリアで良く食べられる様になりました。
「ジェノベーゼ」について。
このジェノベーゼっていうパスタが料理名だというのは広く知られています。
確かに「ジェノベーゼ」はあります。
ジェノバ風をジェノベーゼというのは間違いではありませんが、上記の画像は「ジェノベーゼ」ではありません。
その昔、ジェノバの凄腕料理人がナポリへやって来て作った牛肉のソースがあまりにも美味しく、そのソースをジェノベーゼと呼ぶようになりました。
ですので「色」で言えば、ジェノベーゼは現地の人からすれば「茶色」であって「緑」では無いし、バジルも使わないパスタなのです。
世間一般的に認知されている緑色のバジルソースパスタは、
「ペストパスタ」
と言います。
イタリア語で「すり潰した物」をペストと言い、ジェノバで有名なペストは「バジルのペスト」という理由で、
「ペスト・アッラ・ジェノベーゼ」
と言う言葉が出来たのですが、これは現地のお店では通用するとは思いますが、商品名ではありません。
イタリアで「アーリオ・オーリオ」では無くペペロンチーノと注文したら「激辛トマトパスタ」が来るように、「ジェノベーゼ」と頼むと「お肉ソース」が出て来ると思った方が良いかも知れませんね!
恐らく「ペスト」という言葉を付ければ察して作ってくれるのでヲタ飯あれ!
壊血病の対策として「バジルのぺーストを」とわかりやすいように書いてありますが、「バジルのペスト」という調味料を持って漁へ出た。
というのが正しい言葉です。
ですので、ご飯屋さんで「ジェノベーゼ」と注文している人を見つけたら指を差して、
「あっ!この人が注文したのはペストパスタですよ!」
「え?…それは何って?…お店側なのにあなた知らないんですか!?」
と、「毒」を巻き散らかしてそのお店から出禁を食らって下さい。
僕は責任取りませんが。
そんな色や味も変幻自在なジェノベーゼ。
材料はこちら。
・バジル(葉っぱのみ)
・粉チーズ ・松の実 ・にんにく少し
・オリーブオイル ・氷を数個(コツ)
作り方は簡単!
全部ミキサーやブレンダーにぶっ込む。
…です。
ただもっと美味しくする為に、コツと注意点をご紹介させて頂きます!
1、バジルの葉は温度変化や摩擦に弱いので、多めのオリーブオイルにしっかり絡めておく。
2、粉チーズはパルミジャーノ・レッジャーノやペコリーノ等が良いのですが、どの家庭にもある訳では無いので何でも大丈夫です。
ただ、安い物よりもパルミジャーノやペコリーノは作った時の「香り」が違うので、より拘りたい方は是非ヲタ飯あれ!
3、松の実は軽く煎る事で香りがより良くなります。煎ったら温度は冷めた状態じゃなければソースが茶色く仕上がるのでご注意を!
4、材料を全てミキサーに入れて撹拌していきます。
※コツ…氷を数個入れる事により、ミキサー内の摩擦熱の温度を下げ、バジルに摩擦熱が伝わら過ぎずに済んでより美しい緑色になります。
以上です!
ミキサーで混ぜすぎるとバジルペストの天敵である熱を帯びるので手早く済ませましょう!
パルミジャーノやペコリーノは買ってすぐに劣化する事はありませんので、調味料としてご自宅にあっても良いかも知れませんね!
作ったペストは
サラダに掛けて良し、お刺身を買ってきてマリネしても良し、パンに塗ってチーズやトマトで焼くピザ風にしても良し!
更にオリーブオイルのお陰で保存が効くめちゃくちゃ便利な調味料です!
自由にお使い下さい!
もしパスタを作る場合は「仕上げ」に入れましょう!
1、ベーコンを炒めてパスタを投入。
2、パスタの茹で汁とベーコンのオイルで乳化させた後でペストを入れます。
3、バジルの緑色がフライパンの中で更に艷やかな色になったら完成!
※コツ…最後にペストを入れる理由として色が飛ぶのと同時にペストの香りも飛ぶからです。
マリネも同様、仕上げに和えるだけ。
その方が見た目も綺麗ですよ!
以上!
「バジル」についてお話させて頂きました!(殲)
水の様に優しく、花の様に劇しく
震えるバジルで貫いて
定命られたペストを
瞳の奥 閉じても
貴方を瞼が憶えているの
あの時食べたペストパスタを瞳を閉じれば思い出すあの香り。
まるで僕を蝕む「毒」の様に忘れられない。
レトルトで売っている瓶やパウチタイプの商品も美味しいんですけど、出来立てのペストの「香り」だけは本当に体験して頂きたい!
「毒を以て毒を制す」
嫌な事ばかり起こる世の中ではバジルを食べて負けじと生きろ!
…という意味ではありませんが!
せめて美味しいご飯を食べましょうよ!
そうで無くては貴方は揺蕩う(たゆたう)
隠り世まで
時代に合わせて生きよう!
「ジェノベーゼ」って美味しいよね!
ヲタ飯あれ!!
その他のパスタソースはこちら!
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楽しいお食事を!!
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