いらっしゃいませ!
ヲタ飯屋です!!
冷蔵庫に放置し過ぎてしまった食料があった時はありますか?
そんな時に見てしまうのが「カビ」です。
食べられない!…もったいない!
そうやってゴミ箱へダイブさせてしまうのはとても残念なはず。
そうならないように管理するのが大切なのですが、どうしても食材には「消費期限」という寿命が存在します。
そこで価値が生まれてくる「腐らない」という属性です。
何故腐らないか…寿命がファンタジーのレベルで長いのか。
それは「カビ」を味方につけているからです。
ばい菌やウイルスとは違い、ヨーグルトにはビフィズス菌、納豆にはナットウキナーゼ等の味方になってくれている菌が沢山あります。
それらの味方は僕達の腸内環境を改善させ、「美味しい」という感情すら与え、思わず誰もが「すごいよ!」と声をかけてしまいそうになります。
今回はその味方の一人、「青カビチーズ」についてお話させて頂きます!!
代表的なブランド、世界3大ブルーチーズは
・イタリアのゴルゴンゾーラ
・フランスのロックフォール
・イギリスのスティルトン
となっていますが、これは数あるブルーチーズのほんの一部です。
しかし何故この「青カビ」が食べられ始めたかというと、発祥したフランスのとある書物にこう書かれているそうです。
その昔、ロックフォールという村に羊飼いの青年がいました。
青年は昼メシにパンとチーズを涼しい洞窟で食べていましたが、洞窟の入り口を横切った美女に一目惚れ。
羊と食いかけのメシをそのまま放って追いかけます。
何日もかけて美女をゲットして再び洞窟へ戻ると青カビが生えたパンとチーズがありました。
恐る恐るチーズを食べたら驚く程美味しかった!
…というお話。
うまい事美女をゲットしたこのクソッタレが青カビパンでお腹を壊しているのを祈るばかりです。
その村の名前をとりロックフォールと名付けられたチーズは時の王様にこの味を守り続けるように大切にされて今日に至ります。
青カビは自然界では発生しやすいようで、これ以降あらゆる地域で独自のブルーチーズが発展していきます。
羊の乳で作るロックフォール
牛の乳で作るゴルゴンゾーラ、スティルトン
等、使う乳の種類や作る環境により味わいが変わります。
ゴルゴンゾーラは「ピカンテ」と「ドルチェ」の2種類に分けられ、その違いは青カビの量。
より多い方が「ピカンテ」で風味が強く刺激的な塩気があり、それに対して「ドルチェ」はカビの量が少なくミルクの甘味を感じられます。
パスタやニョッキ等のソースを始めとする料理でより香りや風味を聞かせる為には「ピカンテ」は最高ですし、強すぎない風味の「ドルチェ」はワインのお供やこれからチーズを勉強したい方の入門チーズとしても活躍するはずです。
ピカンテから食べ始めて挫折したり苦手になる方を何人も見てきましたので、もしあまり慣れていない方はドルチェをオススメします!
ちなみにゴルゴンゾーラも村の名前です。
その土地の名産品をそのまま名付ける事で村のアピールにもなりますので、料理名と一緒でその人の名前や村の名前がつく事が多いです。
もう一つのスティルトンも町の名前です。
イギリスはケンブリッジシャー州、あの有名なケンブリッジ大学がある土地のスティルトンという町が作ったブルーチーズです。
ちなみにケンブリッジは漢字で「剣橋」と書くらしいです。
カッコいい!
…んで、ブルー・スティルトンと書かれる事が多いのには理由があります。
元々は名もなきただ美味しい青カビチーズだったスティルトン。
しかしインターネットなんて無い18世紀にこの村を訪ねた旅人が
「旨い!何このチーズ!」
と口コミでその美味しさを拡散して大ヒット!
次々と訪れる旅人達の中に、これを独占販売させて欲しい!とお願いする人がいたりして、製法、限定された材料、等の厳格な規定を守った3つの州の限られた6社程の企業だけが作る事を認められたとんでもないシンデレラ系のチーズなんです。
ロックフォールの様に一つの地域で作られていない事から、スティルトンの製法を守ったブルーチーズ…ブルー・スティルトンと名乗っているのです。
スティルトンはかのエリザベス女王にも愛され、ワインのお供には良く召し上がっていたそうです。
クリスマスのお祝いに陶器の器に入れたスティルトンを贈るという習慣もあるみたいですね!
恋人同士がイチャイチャする間違ったクリスマスを謳歌するジャパニーズとは違ってオシャレですよね!
…クソッタレ共め!!
青カビチーズは「ナチュラルチーズ」という部類のチーズで、自然の青カビを使ったチーズ。
ここまでは青カビチーズの紹介でしたが、ここで最初に戻ると「何故食べて平気」なのかという事です。
ロックフォールの羊飼いも恐る恐る食べた青カビ。
つまり昔からカビが生えた物は食べられないと認識されていたのです。
ここで青カビが生えた食材に起こる変化についてお話させて頂きます!
青カビは基本的には無害です。
しかし一口に青カビと言っても沢山種類があり、ほんの数種類だけ人体に有害なものがあります。
カマンベール等でお馴染みの白カビチーズの白カビも同じくミルクの性質を変えてくれる良いカビで、
・白カビはミルクのタンパク質を分解し、アミノ酸を生成
・青カビは脂質を分解して脂肪酸を生成
これらの性質によりカビが旨味、香り、違った食感等の個性が生まれます。
そして青カビチーズには人を健康にする力があります!
上記にある通り、脂質を分解するのです。
脂質分解力がとても高い青カビは、リパーゼという酵素を多く持ち、乳脂肪分を分解し脂肪酸を蓄える事で体に脂肪が溜まりにくくなります!
カロリーは高いかもしれませんが高タンパクで人体を健康にする酵素が沢山入っている素晴らしい食材なんです。
そんなチーズに使われている青カビの名前は「ペニシリウム・ロックフォルティ」と言います。
ロックフォルティだと!?
あれ?ロックフォール…
あのエロ羊飼い!お前スゲぇ発見してるじゃねぇか!!
あのスケベ野郎が実は後世とんでもない物を残したのです。
「ペニシリウム・ロックフォルティ」
これは後に世界を救う青カビ、「ペニシリウム」の一種で、人気ドラマの「仁−JIN」でも大活躍した「ペニシリン」の元になっています。
医学には全く精通していないただの料理人ですが、
死の病であった梅毒、人々を苦しめた結核、インフルエンザ、肺炎から膀胱炎や中耳炎等様々な病気を回復に向かわせる最強のカビだったのです!
青カビって凄い!という理由ですが、
ここで注意して頂きたいのは、
・管理された施設で厳格な規定を守ってチーズに注入された青カビが健康に良いのであって冷蔵庫等で「発生」した青カビは体に良くない。
・食材に生えた青カビ自体はもしかしたら食べられるかもしれませんが、他の悪い菌を誘発させているのでそちらの方が原因な可能性がある。
これらをしっかり理解しましょう!
料理に使う時は味わいをそのままにスライスしてサラダにかけたり生クリームに溶かしてゴルゴンゾーラソース等に活躍するシンプルな食べ方に対して、
・脂の乗った牛のロース肉をジューシーに焼き上げゴルゴンゾーラと一緒に食べる
・赤ワインと青カビチーズを口の中で混ぜる
これらの食べ合わせはお刺身と日本酒等の王道の食べ合わせとは違い、2つが織り混ざった美味しさ「マリアージュ」と呼ばれる食べ合わせの代表です。
エリザベス女王もそのマリアージュの虜になったように、チーズにはそれぞれ旨味がありますのでワインのコクが深まったり、バターでお肉を彩るよりもチーズを合わせる事で風味に独自性が生まれます。
赤ワインと青カビチーズの合わせ方はまず青カビチーズを少しかじり、口に含んだ状態で赤ワインを口に入れた後、舌でチーズをワインに溶かし込む要領で混ぜ合わせる。
するとチーズのクリーミーさが際立ち、ワインのコクも上がるウィンウィンの関係になる。
この相乗効果を言います。
どのチーズでもこのワインに合う!
逆にこのチーズはどのワインでも合う!
という事はありません。
個人の好きずきもありますのであなたのマリアージュを是非探してみて下さい!
発見できたらめちゃくちゃテンションあがりますよ!
ちなみにゴルゴンゾーラには一時期大変な事がありまして、コロナが流行りだした時期にイタリアで青カビを作る職人さんがコロナで亡くなってしまうという大事件でした。
養殖していた青カビも全滅し、ゴルゴンゾーラが作れない状態になってしまいました。
お店で契約していたチーズ屋さんがこだわり過ぎてその眼鏡にかなうゴルゴンゾーラを探すのが大変なのと、世界中が混乱していた状況なのでそもそも運ぶ船が日本に入ってこないという状況でした。
そんな事情を知らないお客様は人気ピザのクアトロフォルマッジだったりゴルゴンゾーラたっぷりのクリームパスタを好んで注文して下さるので品切れにならないかヒヤヒヤしながら営業してましたね。
もうそんな事は起こらないようにゴルゴンゾーラを食べて健康に気をつけたいものです。
以上!青カビチーズのお話でした!
まとめると…
・青カビチーズはエロ発祥。
・青カビは世界と健康を救う
・発生したのは食べちゃ駄目
というお話です。
愛するブルーチーズがエロやロマンスに関わっているのは何とも腹立たしい!
クリスマスもまたストレス溜まるんだろうなぁ…
スティルトンの塊を贈り合って神に祈って寝ろ!
ロマンスの神様じゃないからな!
寝るってのもちゃんとレム睡眠の方だからな!!
あーあ、誰か歩いてる時に羊飼いみたいに恋に(ラブ)落ちて(フォール)してくれないかなぁ…
クソっ!誰か僕とマリアージュしてくれぇ!!
羨ましいんだ!!
頼む!!
ヲタ飯あれ!
ブルーチーズに合わせるのはタンニン(渋み)があるワインが合いますよ!
カベルネはだいたいブルーチーズと合わせて間違いはないです!
美味しいか、もっと美味しいかの差くらいです!
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楽しいお食事を!!
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