いらっしゃいませ!
ヲタ飯屋です!!
ピザに乗せるチーズ、大人のおつまみから子供のオヤツまでどこでも手に入るプロセスチーズ。
このプロセスチーズは様々な種類のチーズを加熱して繋ぎ合わせる加工されたチーズの事です。
それに対して、混じり気や加工の無いチーズをナチュラルチーズと言います。
このナチュラルチーズは保存の関係で手に入りやすさはプロセスチーズと差がありますが、日本で最も手に入りやすいナチュラルチーズは間違い無く「カマンベール」です。
スーパーはもちろん、コンビニでも売っているカマンベールはいつでも食べられると言っても過言ではありません。
そして何より美味しい!!
居酒屋さんには「カマンベールフライ」、お店によっては温めたトロットロなカマンベールに野菜やパン、ソーセージ等をつけて食べる「カマンベールフォンデュ」等、料理にも使える万能なチーズです。
この世界的に愛される「白カビチーズ」はなんと1,000年以上前には作られ、庶民から皇帝に至るまでありとあらゆる人々を虜にして来たチーズ界のスーパースターです。
今回は「白カビチーズ」についてお話させて頂きます!
「白カビ」と言っても実は「青カビの一種」でして
ペニシリウム・カメンベルティという必殺技みたいな名前のカビです。
人類を救った「ペニシリン」の元になっているペニシリウムというカビの一種。
ちなみにブルーチーズの青カビもペニシリウム・ロックフォルティという必殺技みたいな名前です。
これには理由がありまして、
ロックフォール村のとある羊飼いが洞窟で昼メシでパンとチーズを食べていた所、目の前に美女が通過し一目惚れ。
追い掛けて行った結果その美女をゲット。
食べかけのメシを思い出し洞窟へ行き、青カビが生えていたチーズを食べてみたらやたらと美味しい事に気付いた珍事件がきっかけでその村の名産品になっていく。
というスケベな野郎が後に世界を救うという天晴なお話があります。
↓青カビチーズのお話は詳しくはこちらどうぞ!
その青カビの一種が今日僕達が食べている白カビの正体です。
「白カビチーズ」と言っても大量に種類がありますので有名所をご紹介します。
最近スーパー等をでも見かけるようになった最も歴史の古い白カビチーズの、
「ブリー」
というチーズがありまして、見た目はカマンベールとはそれ程遠くありませんが、大きさはLサイズのピザ位デカいです。
それこそピザのように切り分けるチーズで、7世紀のキリスト教の修道士によって作られた白カビチーズの元祖です。
「ブリー」は「ブリー・ド・モー」や「ブリー・ド・ムラン」等、何種類もブリーの名を冠するチーズがありますが、それは「モー村」で作られた、「ムラン」という元集落みたいな所で作られたという地域の差と、それにより違ってくる風味の差があります。
ヨーロッパの礎を築いた「カール大帝」が遠征中に立ち寄った修道院で食べた「ブリー」にハマり、定期的に送る様に命じたそのチーズは瞬く間にフランス中に広まったのがきっかけで白カビチーズはあらゆる地域で作られるようになりました。
中でもモー村の「ブリー・ド・モー」は特に高い評価を受け、宝塚歌劇団の演目の一つにもなっている名作漫画「ベルサイユのばら」でもお馴染みのマリー・アントワネット王妃の旦那ことルイ16世も大好き!
ベルサイユのばらの最終章はフランス革命の真っ只中が舞台となっており、悪政によるストレスの限界が来た国民による暴動から逃げるようにフェルゼンというイケメンに助言されて国外逃亡をした際の事。
亡命先のオーストリアに着く前に見つかりフランスへと戻される訳ですが、発見された村で何をしていたかというと、ブリー・ド・モーと赤ワインを堪能していたら追っ手に見つかったらしいです。
そんなギリギリのタイミングでも手放す事は出来ないなんて余程の美味しさだったんでしょうね!
そして王政が廃止されてナポレオンがその才能を開花させヨーロッパで大暴れ。
しかし、ロシアの冬将軍に負けたナポレオンは紆余曲折あり失脚。
その戦後処理等で周りの国から滅茶苦茶に文句を言われていたフランスを救ったのはナポレオンの部下であったタレーランという政治家でした。
タレーランは「ウィーン会議」というヨーロッパ諸国の代表が集った会議において、ナポレオンが原因で肩身の狭いフランスの代表でした。
タレーランは「美食外交」という作戦でフランスの立場を優位な立ち位置にする為に優秀な料理人とタッグを組んでいました。
↓この料理人の詳しい解説はこちらです!
そして「美味しいでしょ?これからもフランスをよろしく!」モード全開のタレーランは遂に全員の前で失言をします。
「いやぁ…やっぱ世界一のチーズはブリー・ド・モーですな!」
ヨーロッパ諸国は各国それぞれに発展した自慢のチーズがあるのですが、仲良くなりましょう…連携をしていきませんか…という会議だったのにそんなカドの立つ事は言っちゃ駄目だと思いますが…
「ちょっと待った!アンタ今何て言った?」
案の定聞き捨てならないと言ったのは開催国のオーストリア。
オーストリアも世界一のチーズ市場がある程のチーズ大国、そんな強豪国のホームグラウンドでお宅のチーズよりもウチの方が美味しいなんて言われて我慢ならなかったそうです。
それからチーズ品評会が行われ、投票の結果ブリー・ド・モーが優勝!
オーストリアの代表もうっかり投票しちゃった位に大人気でした。
そんな事ばっかりしてるから「会議は踊る、されど進まず」なんてイジられるんですけどね。
「カマンベール」は世界中で作られるチーズでして、戦乱の世の中で身の危険を感じて避難したキリスト教の神父さんがとある小さな村に逃げてきた事からその産声を上げます。
「カマンベール村」という200人位の小さなその村でもチーズ作りはしていたのですが、村の規模の都合により大量にチーズを作っていませんでした。
チーズは大きく作って切り売りをしていたのですが、保存期間の短いブリーのような白カビチーズはカマンベール村に不向きな存在でした。
ただ、ブリーが美味しいのは当然知っていたので憧れはありました。
そこで神父さんはマリーという女性にブリーの作り方を伝授し、マリーさんは製法をそのままに大きさを小さくして切らずに売る事を始め、村の規模に合わせる事で独自性を高めていきました。
ブリーがおよそ35センチのホールで作るのに対して3分の1程の大きさの12センチ位のホールです。
小さい分、白カビで熟成される期間が早くなり美味しい状態で食べ切れるし量産できるので、規模の小さいカマンベール村にマッチした白カビチーズになって行きました。
その熟成期間はカマンベールが3週間位で、ブリーは5週間位です。
そんなカマンベール村名産、カマンベールは美味しさと熟成期間の短さが量産の時代にマッチしていき、フランス全土から世界中へ活躍の場を移していきます…が、
ブランド化するのがめちゃ遅れたのが原因で、ブリーやその他のチーズみたいに
「ウチだけですからね!」的なチーズになりませんでした。
おかげで日本でもカマンベールと名の付く商品は沢山作られています。
そして1983年と結構最近にAOCに認定され、カマンベール村のカマンベールは
「カマンベール・ド・ノルマンディー」
と名乗る様になりました。
AOCとは原産地呼称統制というこの土地のこの材料じゃないと本物とは名乗れないんだぜ!という自社ブランドみたいなものです。
あと、アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレという必殺技みたいな名前の略です。
このノルマンディーと僕達が日頃食べているカマンベールの違いは、
牛乳を加熱処理しているか生乳なのか
でして、スーパーやコンビニ等で買えるものは日持ちさせなくては売り物にならないので、量産の都合もあり牛乳を加熱処理してあります。
対してノルマンディーの方は加熱処理していない分、より牛乳のコクとミルキーさをより感じられるので是非一度食べて見て欲しいです!
イタリアでも白カビチーズは人気で、
「ロビオラ」は四角い形の白カビチーズ。
ヤギの乳や羊だったりと、各家庭、各農家で味わいが違って面白い…というよりイタリアっぽい感じを受けます。
フランスよりも数は少ないのですが、それは恐らくブリーが強すぎるからという面もありますね。
チーズ屋さんに行って教えてもらってもやっぱりブリーはレベルが違って、トリュフが入っている物があったり絵に書いたようなお金持ちのマダムが大人買いしていったりと本当に凄い!
特にトリュフのブリーは本当に本当にオススメします!
特別な日には是非召し上がってみて頂きたいです!!
そんな皇帝やマダムが好んで食べる白カビチーズ。
高タンパクではありますが高カロリーでもあるので健康面ではどうなのか食べたらどうなるのかは気になるはずです。
白カビの性能のおかげでアミノ酸が豊富で、認知症、アルツハイマー等の予防にも効果があるそうです!
ペニシリウム・カメンベルティの効果はタンパク質をアミノ酸に分解するというもので、表皮の下のトロットロな部分はアミノ酸たっぷりで、消化吸収に特化した状態の良質なアミノ酸の塊ですので、健康にとても良いプロテインのような存在なのです!
以上!「白カビチーズ」についてお話させて頂きました!
まとめると…
・健康にとても良い白カビは実は青カビの一種。
・古今東西、老若男女、貧富貴賤、全ての人間に愛される存在。
・ザマスを語尾に付けそうな外見のお金持ちは実在する。
・必殺技って覚えてみたいなぁ。
です!
歴史上の人物から僕のような一般人を虜にするこのチーズは今もなお世界中で作られ、食べられる優秀なチーズ。
フランス革命のおり、オスカルがバスティーユ牢獄の上に「降伏」を意味する「白旗」を最後に見たように、その「敵役」であったルイ16世が最後に求めた食べ物がブリー・ド・モーだったように。
人生を締めくくる時には「白カビチーズ」を食べて「幸福」になる際はブリーが「適役」なのでしょうね!
御自身の人生で最後に食べたい物は?と聞かれた時には華麗に答えてやりましょう!
「ブリー・ド・モーです。」
そしてカール大帝やタレーランの話をしてウザがられましょう!
バスティーユ襲撃のように集中砲火を受けるあなたは思わず逃げ出すでしょうが、逃げた先で「ブリー・ド・モー」を食べながらこう歌うのです。
〜苦しめば苦しむほど…愛は、愛は深まる〜 ベルサイユのばらED、愛の光と影より。
…そんな事にならないようにチーズは仲良く食べましょう!!
ちなみにルイ16世は物語やお話では食い意地の張ったポッチャリで描かれる事が多いけど、本当は少食で身長190cm程ある筋肉モリモリのプロレスラーみたいな体格だったから太ってるように見えただけらしいです!
まともなご飯が食べられなかった国民の妬みも後世に引っ付いているみたいですよ!
嫉妬はいつの時代も怖いものです、僕達も薔薇のように美しく気高い心を持ちましょう!
さぁ、チーズを食べてあなたの人生に革命を!!
ヲタ飯あれ!!
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楽しいお食事を!!
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