トシ物語

ヲタクが出会った変人

いらっしゃいませ!

ヲタ飯屋です!!

今回は何の知識でもありませんし、何の学びにもならないのですが…僕の先輩。

トシさんについてお話させて頂きます!

誰?……僕の先輩です…すいません。

トシさん大好きなんですよね

このトシさんは和食時代の先輩でして、8歳年上の男性です。

この人はアホなんですけど、人懐っこく他の先輩にも可愛がられている方。

外見は目が細いムーミンに和食の白衣を着せて頭は脳天からハゲるタイプ、しかもハードなヘビースモーカー。

あの人以上にタバコが好きな人に会った事がありません。

8歳年は違うんですけど調理場年齢層はかなり高く、僕とトシさんの間には誰もいませんでしたので特に良くしてくれました。

トシさんは仕事だけではなく、色々な事を教えてくれました。

調理場の外にスタッフ用の喫煙スペースがありまして、そこで如何にサボるか、スキを見てタバコを吸いに行くかを一番最初に教えてもらいました。

…僕は喫煙者ではありませんので一回も使った事はないんですけど…

そしてゴミを閉まっておくケースが屋外にありまして、そこには不法投棄を防止する為に監視カメラが2箇所設置されているから気を付けるんだぞ…と。

何に気を付けるかは良くわかりませんでしたが初めて見る監視カメラに少し興奮したのは覚えています。

ランチもディナーもしているお店でしたので、仕込みや準備で朝はバタバタしているのですがそこはトシさん仕事は早いんです。

良くテキトーにしてると怒られていましたけど…

スキあらばタバコを吸いに行くトシさんに対して他の先輩方も笑いながら感心していました。

「アイツは米軍の特殊部隊みたいに全身にタバコを隠している」

何を言ってるんだ?と思ったのですが、その米軍系ヘビースモーカーの言葉自体が面白かったのでその場は笑って終わったのです。

お店では紙の和帽子を使っていて、忙しいと汗が滲んでおでこの辺りに汗染みが出来てしまいます。

僕は入りたての新人で、飲食業の調理担当の自分の持ち場を持たない追い回しという忙しい持ち場を転々と手伝って回るという事をしていました。

トシさんはコースで言うと最初にお出しする八寸(和食版、前菜オードブル盛り合わせ)と最後にお出しするフルーツデザートを担当している方でして、段取りよくしておけば温かい料理を出す時間帯は他の持ち場の盛り込みの手伝い等を僕とこなしていくのが日常でした。

しかし、どれだけバタバタしていてもふと気が付けばトシさんが行方不明になる事がありました。

普段のゆるりとした日、時間帯であれば誰も文句は言いませんし、何ならトシさんを喫煙所へ誘っていく先輩もいたのですが、その日は間違いなくバッタバタの忙しい週末。

「おい!トシはどこ行った!?」

親方の怒号が響く調理場はすでに戦場。

まさに猫の手も借りたいという言葉が当てはまる状況でしたが我らがトシさんがいない!

「探してこい!」〜「喫煙所へ行く」〜「居ました!」〜「仕事しろ!」までがセットのくだりがありましたがそこは戦場状態…行ってこいって言う時間ももったいないといった空気の中、タバコの匂いをオーラの様に纏い颯爽と登場のトシさん。

細い目のムーミンがタバコ臭を纏う姿は正直面白く、僕は笑いを堪えることができないまま必死に盛り込みをしていました。

「トシ!お前どこ行ってんだ!」

「外の冷凍室に行ってました!」

僕達は一般人は何の特殊能力もスキル、魔法も使えませんが心はシンクロした瞬間でした。

 

 

嘘つけ!!!

これがサイコフレームの共鳴…?と思いましたね。

そんな週末を毎週過ごしていたのですが、痺れを切らした親方が

「トシ、忙しい時間が終わればいくらでも吸わせてやるから持ってるタバコ全部ここに出せ!」

大人になってから持ち物検査を喰らう人を初めて見た瞬間でした。(笑)

だがトシさんはまた行方不明になっていた。

ふらっと戦場へ舞い戻るトシさんはまたオーラを纏いながら親方に叱られていた。

全身に隠しているのは伊達じゃないようです。

別の日親方に、「トシ、お前がなんて言おうが匂いでわかるんだからな!!」と叱られていたのを学習してきたのか、行方不明になり帰ってきたらミントの香りを身に纏う様になった。

調理場は笑いに包まれたが、親方は

「トシ!どこ行ってんだ!」

「冷凍室に行ってました!」

「ウチはミントなんか使ってないだろ!」

タバコに対する執着しすぎるあまりの凡ミスは僕が今こうして書いている程の思い出です。

汗染みが酷くなる程忙しかったある日、トシさんが着けていた紙の和帽子の内側に4本のタバコを仕込んであるのを僕達はまかないを食べながら全員確認していたのですが、疲れのあまり誰もツッコまずいました。

食べ終わると休憩なんて取る時間も無く夜の営業に備える調理場。

そしてまた忙しい営業中に行方不明になるトシさん、理由は別の持ち場の材料を冷凍室に取りに行くお使いでした。

まさかと調理場で話していたそんな時、トシさんが帰還。

ミントの香りはしませんでしたが、タバコが残り1本になっていました

戦場は笑いに包まれました…親方を除いて。

「トシ!どこ行ってんだ!」

「冷凍室に行ってました!」

「また吸ってきたんだろ!」

「タバコは全部ここに置いてあるんで吸ってません!」

「じゃあ何で3本減ってんだ!!」

ここで僕はノックアウトしました。笑いすぎて手が震えて繊細な盛り込みなんて出来なくなりました。

トシさんはポーカーフェイスで乗り切ろうとシラを切っていましたが、全員確認済みでしたので親方にさらに叱られていましたね。

そんな僕の愛するトシさんを今後もまた書いていこうと思います。

改めて言いますが何の学びにもなりません。

まだまだエピソードは尽きないのでたまにお付き合いお願いします!

化け物トシさんを今後ともよろしくお願いします!

ヲタ飯あれ!!

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