いらっしゃいませ!
ヲタ飯屋です!!
突然ですが、大奥というのは江戸時代の御殿様の奥様の事。正室と呼ばれるお嫁さん、その後、世継ぎを絶やさない為に側室と呼ばれる奥様以外の女性、「妾(めかけ)」なんて呼ばれ方もする女性達の事を指します。
僕が和食のお店で働いていた時、接客は着物を着た女性達、仲居さんにして貰っていました。
今回はその仲居さん達についてお話させて頂きます!
僕の大好きなアニメでコードギアスシリーズという作品がありまして、最近はスーパーロボット大戦等のゲームにも出演したりもする人気アニメです。
あらすじをザックリ説明させて頂くと、とある超大国に支配された「元日本」を取り戻す為に天才的頭脳を持った主人公が仲間と共に革命を起こしていくというお話。
本当に面白いんですよ!
ロボットで戦うというだけではなく、戦略や人間関係、それらを駆使した駆け引きを緻密な計画を基に攻略していくといった内容です。
当時の僕はバチバチの人間関係が時折垣間見える着物の姐さん達を興味深く観察、介入していました。
そこで絶対的存在である女将さん、その背後から何も文句を言わずにそっと付き従うというまさに大奥のような体制でした。
女将は仕事はとても出来る方で、お客様からの評判も良く、女将の接客のファンもいらっしゃいますし、調理場の状況も把握した上で料理を進めたりしていたので僕達料理人からの信頼も厚かったスーパー女将でした。
ただ僕が出会った誰よりも我が強く、ピッチャー向きなマインドの持ち主でもありました。
こういう仕事は出来るけど何処か変わった部分がある人はどこにでも存在するのでしょうが、その人が当時の女将でした。
そういう状況下ですので多少理不尽な事で怒られても
あの人が言うならそうなのかも…しょうがない…
と我慢、泣き寝入りする仲居さん達。
しかしそのスキルはやはりピカイチですので追従する姐さん達は仕事が出来る人がほとんどでした…が。
革命の分子「新入社員」の登場です。
料理人も仲居さんも理想は高く持ちやすい反面、厳しい世界でもあるので仕事中に泣いちゃう新人さんもいますし、毎日泣いている子もいました。
僕達料理人はシャツの上から白衣、前掛け、帽子を被るだけなので一瞬なのですが、姐さん達は着物を着る時間がめちゃ掛かるそうです。慣れていない時は2時間前にお店に入ってました。
僕も仕込みで早く入るのが日常でしたので良く大変だねと話してました。
女性の身支度はお化粧もありますので、高卒や大学卒業したて関係なく、着物に合ったお化粧のレッスン、着物を着る練習、接客時の姿勢、着物を着た時ならではの立ち振る舞い、言葉遣い等など…
辞めてしまう人もいましたし、愚痴を良く聞いていました。
しかし、そうやって泣いている女性を見ているのも一緒に働いている僕達調理場の人間もはっきり言って気持ちよく無いので、新人の二人の女の子と作戦を立てたのです。
目標は超大国の壊滅では無く、女将の軟化と二人のスキルの向上、仲間の獲得。
僕は調理場で一番若い状況もあり、厳しくも料理人、女将を始めとする仲居さん全員に可愛がってもらっていたという事も上手く利用していきます。
まず第一に調理場と二人の距離を詰め、仲間に加える。
スケベ心もある調理場の野郎共は話したくて仕方ないというのも僕は知っていたんです。
若い二人は走り回っているし、あまり話していると仕事しなさいと叱られる環境のせいであまり話せていなかった。
そこで僕がアホみたいな顔して先輩方に飲みに行きませんかと話を持ちかける。
飲み会が控えていると一致団結してお店の閉め作業を早くしてダラダラする事無く集まるからです。
その日は初めての調理場と二人のマッチング。ちなみに他の仲居さんには内緒でした。
二人の事はしっかり見ていたが同じお店であっても畑違いな姐さん達に遠慮して介入出来なかったのです。
事情を理解してもらって第一段階は完了。
続いてスキルアップに必要な事の1つにわからない事を遠慮なく聞ける人間関係の構築。
萎縮した環境では、絶対に怖くて聞けない故に失敗、さらに怒られて怖い…のような悪循環になりますのでそれを断つ為に、中堅の先輩の信頼、仕事のスタンスを学ぶ必要があります。
調理場の先輩に教えてもらったのですが、昔の人は人手不足なんて無い、辞めても変わりはいるという考え方をする人が多かった時代。そこで働いていた人が今の女将達の世代だから仕方ない。
…それがどうしたという話なんです。昔は昔。
自分がされていたから後輩が同じ目にあって当たり前なんてのは自分の経験をアウトプットするのが下手くそなだけです。
中堅の仲居さん達と飲み会を経て、その姐さん達も溜まっている気持ち、あれは流石に君達悪くない件等、たくさん出てきて二人共安心していました。
打ち明け合う事で仕事もフォローし合えるようになったし、
「自分達だけでは無いんだ」
そう思えただけで泣いてしまう程でした。
そこで二人は満足してしまったのですが、ラスボスの女将はまだ1ミリも変わっていません。根本がそのままでした。
今これを書いていて自分でも嘘っぽく見えてしまうのですが、女将の横には二人の側近がいました。(笑)
側近の内の一人は僕と同い年の息子がいるらしく、僕にとても良くしてくれていました。
この方は新人二人がこういう感じで悩んでいるという事はあらかじめ伝えていましたし、調理場との飲み会、中堅の先輩達との飲み会の情報を隠蔽するのを手伝ってもらっていたコチラ側の最終兵器でありスパイだったのです。二人には内緒でしたけど。
もう一人の側近は僕のまかないを少しずつ食べてもらったりしていたので良くお話していた。そこで女将の弱点を教えてもらったある日、ここは攻め時と判断した僕は、
最終決戦「お店全員での飲み会」を開催する事になりました。
調理場の仲間達、姐さん達、側近二人からの情報、今での全てを集結させ、いざ決戦の舞台へ!!
飲み会は大成功!みんな明日が仕事という事を忘れ本当に楽しい会でした。
しかし僕達の戦いの最終作戦はここから始まるのです!!
場所は変わりカラオケ屋さんに来た二次会参加者。全員では無いのですが、中堅の先輩を含めた僕達若めの人間達と、側近二人、そしてターゲットの女将。
この女将…酒を飲んでカラオケに行くのが何より大好きだったのだ!!
そして最後に酔った女将を車で送り届ける戦士…新人二人。この時の為にお酒は飲まなかったのです。
家に着いた僕は二人の内の一人から電話を貰った。泣きながらだったので驚いたのですが、
「いつも頑張ってるね、そのまま頑張りなさい。」
と車の中で言ってくれたそうです。
ここで作戦終了。
次の日以降彼女達はモチベーションを取り戻し、先輩達のお陰もあり強くたくましく成長して手が付けられないにまでなっていくのでした。
そして大奥は継承されていくのである…。
実は僕が直接女将にも相談していた事は二人にも誰にも内緒の話。(笑)
いやぁ…コミュニケーションって大切ですね!
お酒は嫌な時に飲めば最悪なアイテムなんですが、効果的に用いれば最高のツールになります!
お酒はどう飲むかでは無く誰と飲むかなんだと、自分で接客する様になって改めて認識する事が出来ました。
皆さんもお酒を楽しんで下さいね!
ヲタ飯あれ!!
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