ポーヴェラとリッカ

ヲタクとイタリアン

いらっしゃいませ!

ヲタ飯屋です!!

料理を一言でいうには広過ぎるジャンルなのですが、料理のターゲットで移り変わった背景があるのも世知辛い話ですが事実でもあります。

 

というのも、イタリアはヨーロッパでもローマ帝国の台頭もあり長年強国の地位にありました。

そこには勝利だけではなく、敗北も入り混じった群雄割拠の戦乱の時代でした。

勝者と敗者があると必然的に貧富の差が生まれます。

国と国でも起こるその格差は王族はもちろん、聖職者、貴族、一般人と大まかに分かれるパワーバランスは圧倒的に一般人が低いのです。

インターネットとSNSの普及、流行により「才能」がわかりやすい評価対象になった現在とは違い、人生逆転は至難の業だと伺えますね。

そんな当時のイタリアでは、上記のパワーバランスの他に更に細分化した力を誇示する方法の1つとして、日々どのような豪華な食事をしているかをアピールするという方法があります。

 

「あの貴族の家は庶民には偉そうだけどあっちの貴族の方が良いもん食べてる」

これが広まる事により貴族の間での格差が出来てしまうので、マウントの取り合い…戦わない戦いが起こりました。

そうして食べる層に差が生じたのがきっかけで同じ名前の料理でも全く違う料理というややこしい事が現代にまで残る結果になりました。

困りましたよ本当に!

先輩に調べてみてと言われた料理が同じ名前、同じ土地でも見た目、材料が違うんですよ?

二種類覚えていって両方違うと言われた時は辛かったなぁ…(笑)

 

タイトルにありますポーヴェラとリッカとは正式にいうと、クチーナ・ポーヴェラ(庶民的な料理)とクチーナ・リッカ(貴族の料理)といいます。

クチーナをつけると長くなるので取っちゃいました!

あとクチーナはイタリア語で料理という意味です。

貧乏人の料理、金持ちの料理なんて言い方もありますが、僕は品を何より大切にしておりますので、

今回は上記の言い方で料理の差をお伝えしていきたいと思います。

 

例えば、日本食にもあります、

「とんかつ」

そもそもはフランス料理に「コートレット」という仔牛の肉パン粉を纏わせたバター焼きの事です。

バターで焼き上げるのが「とんかつ」との違いなんです。

この料理を開国後の日本に伝わると、日本人の舌に合わせてサラダ油で揚げるというアレンジに加えて「コートレット」が日本語なまりにより「カーツレッツ」から「カツレツ」。

本来、仔牛を使う所を豚肉を代用したから「豚カツ」になりました。

そう、とんかつ屋さんは見方によればフレンチなのです!(笑)

デートに使いましょう。

 

「コートレット」はイタリアにも渡り、貴族の食べる格差をとてもわかりやすく表してくれます。

イタリア語で「コトレッタ」と呼び名は変わりますが、料理として同じです。

日本のイタリアンのお店に行くと「ミラノ風カツレツ」なんてわかりやすくメニューになっています。

ぶっ叩いた方のコトレッタ

これです。

作り方としては、

仔牛をぶっ叩いて薄く伸ばしてパン粉を着けて焼く。

シンプルで人気の料理、そして

骨付きでぶっ叩いていないコトレッタ

こちらもコトレッタです。

食材としては同じですが、質や仕上がりが全く違います。

厚切りの仔牛の骨付きロースを使用します。

まぐろのお刺身でも「赤身」も「大トロ」もまぐろのお刺身には変わりないというレベルの話なのですが、当時のマウント合戦ではこのリッチさが戦いの武器になります。

もちろんぶっ叩いた物よりも骨周りのジューシーな部分の方が高価ですしマウントになります。

この様にお抱えの料理人を自慢するのも格差アピールに繋がるクチーナ・リッカでした。

 

続いてクチーナ・ポーヴェラです。

これは僕の大好きな食材を無駄にしないメニューでして、クチーナ・リッカとは違ってお金のない庶民が工夫の末に行きついた叡智の結晶です。

クチーナ・リッカのエピソードとは打って変わって安価なパスタとパン等を上手に使い、お腹をいっぱいにしたり、捨てない事に特化したジャンルです。

ほんの一例ですが…

カッチカチになったパン等は水で少しふやかしてサラダ等に入れてカサ増ししたパンのサラダ

溶き卵に茹でたパスタを入れてカサ増しした状態でフライパンで焼いてオーブンにぶっ込んでフワフワに焼くフリッタータ。

・牛のホルモンの一種でトリッパ(ハチノス)をトマト等で煮込みに煮込んだ物をそのままでも食べるし、パンに挿んでガブッと食べる軽食もストリートフードの定番です。

 

パニーニって名前聞いた事あります?

あれもこの一種で、パン(パニーノ)に具材を挟んで食べる軽食で、パニーノを食べる為に2つに切ると複数形の呼び方でパニーニとなります。

 

この様に、目的の違いがはっきり分かれた文化です。

現代はその差が埋まっているのでしょうが、それぞれ発展した分野が、各20州に数多存在します。

以上、イタリア料理の奥深さは歴史的背景が色濃く反映したというお話でした!

 

いやぁ…とんかつ食べたくなってきた…

でも今回はカツ丼にしようかと思います。

卵に入れてカサ増しした物をご飯に乗せた日本のクチーナ・ポーヴェラですね。

持ち合わせの品をその時は封印して下品にかっ込んでやろうと思います。

品を超えた美学がそこにはあるのです!!

丼物って上品に食べると美味しくなさそうに見えてしまう不思議。

さぁ、みんな!

今夜はイタリアンだ!!!

 

ヲタ飯あれ!!

 

 

こちらも合わせて読んでみて下さい!

料理人として伝えたい事

楽しいお食事を!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました