まっ黒・ジャック

ヲタクと和食

いらっしゃいませ!

ヲタ飯屋です!!

 

夏真っ盛り。

暑い日にはガッツリお肉を食べて元気を出すのもいいのですが、わさびを効かせたお刺身と一緒に飲む冷酒なんてのも風流でいいですよね!

お刺身と言えば和食の代表格で海外の方も「SASHIMI(刺身)」はユネスコ無形文化財である和食をイメージする方が多いです。

海外のお客様も写真をSNSで発信されたりするので、その写真のテクニックを

「こんな風に撮ったよ!」

と僕達に見せて下さいます。

日本に来る方は旅慣れされている方が多いようで、加工は多少されているのですがプロの写真家さんレベルの作品をバンバン披露してくれます。

魚を生で食べる文化は世界的に少なく、国民食にしている日本は冷蔵、冷凍の技術が優れている事にも繋がります。

刺身の具材は数多くあれど、不動の人気で刺身、お寿司をイメージすると100%描き出される鮪(マグロ)についてお話させて頂きます!!

このでかい魚。

有名な話かもしれませんが、昔は今程の価値が無い魚でした。

すぐに色が変わるんです…まっ黒からマグロになったのが名前の由来らしいです。

もう一つは目がデカくて黒い魚…目ぇ黒…鮪って話もあるみたいです。

食べたら美味しいのは周知の事実ではあったのです。

縄文時代の貝塚って歴史の授業の3回目位で習う拾った貝や魚のゴミを貯める場所に、鮪の骨が発見された記録があったり、「古事記」とか「万葉集」にもシビっていう名前で描かれていたりもします。

温度変化に弱いのですぐに悪くなるんですね。

現代の技術では瞬間冷凍であったり、真空処理の技術、流通のインフラも進歩して鮮度を保ったまま消費者へ届くようになったから今の地位がありますが、そこは昔の話。

戦国時代に冷蔵庫なんてありませんから、変色しない白身魚や川魚だったり、油が比較的乗っている鰻や鱧(はも)が高級な食材でした。

ちなみに活魚と鮮魚の違いはご存知ですか?

活魚とは生きている魚…お寿司屋さん等に生け簀に泳いでいるあれが活魚。

朝市でとれた新鮮な食材を鮮魚といいます。

生きてるか食材になっているかの差です。

鯛や平目等は生け簀や流通の際にサイズ的にイケるんですが、鮪はデカいしすぐに悪くなるからというのが一番の価値の見出だせない理由です。

 

 

あとその昔、僕達が恋焦がれる大トロ等の部分は捨てられていました。

「こんな脂っこいモン猫も食わねぇよ!アッチョンプリケ!」

という価値観で、猫またぎ(猫ですら食べずにまたぐ)なんて揶揄されるくらいでした。

一口に鮪といえどカツオやカジキも鮪の一種ですが、どうですか?

カジキとカツオってさっぱりした魚をの代名詞だったりしませんか?

日本人の価値観は白身やあっさりした魚が人気、舌に合っているのがわかります。

しかしそこは質素なジャパニーズ。

頑張ってなんとか食べようとします!(笑)

干物の技術が秀でている先人達は遂に鮪を干すに至るのですが…硬すぎて食べれません。

「硬ってぇ…もうカンナで削れ!」

…鰹節の完成です。

正確には鮪節なんですけどね。

これは味が濃くて美味しいのですが、出汁に使うには色が付き過ぎてしまうのであまり使われないので、カツオを使う方が増えました。

干物にして更にその味だけを出汁に抽出…試行錯誤が目に見えてわかります!感動モンですよ(笑)

大トロ等の部分は第二次世界大戦後からやっと食べられるようになったのでまだ100年経ってない新しい食材なんです。

そんな時代が追い付いてきた魚の鮪。

実はマグロ解体ショーなんてイベントで組まれたり、初競りでバカ高い金額で競り落とした会社の自社アピールをした際に行われる行事は、実は美味しい状態ではないのです!

厳密には美味しいは美味しいのですが、鮪は適正な温度で低温熟成させた方が旨味が増すのです!

冷凍も保存と供に旨味を引き出す事が最新のデータで判明した理にかなった仕事だったのです。

だからインド洋等に生息するインド鮪は水温が温かい海だから脂少なめで比較的にあっさりしていて、船上で下処理、急速冷凍をして世界に旅立ちます。

日本で有名な鮪といえば「大間の本マグロ」。

こちらは青森県と北海道の間の海域で穫れるしっかり海を長い旅(運動とたくさんご飯を食べた期間の長さ、成長)の分と極寒の荒波で過ごす為に脂を蓄えた物です。

これらは全く違うもの。

インド鮪はツナ缶等の加工品に使ったりします。海外の方にツナって人気なんです。

イタリアではトンノと呼ばれ料理にも沢山使われますし、お肉等にかけるツナを使ったソースをトンナートソースといいます。

和食の話をすると、お刺身、焼物、唐揚げ、丼物…様々な用途で作られます。

火を入れると赤身の筋肉が多い肉質もあり、弾力が強い食感になります。

ですので、焼く時はがっつり塩胡椒を降るとめちゃくちゃパワフルな料理になりますよ!

おつまみにピッタリですのでヲタ飯を!

煮込む場合はある程度火を入れたら上記にあるように固くなりますので、木べらで潰しながらほぐして甘辛く味付けすれば、最高のご飯のお供に変身。

1センチ角にカットして生姜とお酒と醤油を入れて砂糖と少量の塩で煮込めば鮪の時雨煮と言ってお突き出しに良く出てきがちな料理になります。

時雨煮(しぐれに)とは生姜の風味の入った煮物です。

鮪のカマなんてのも美味しいんです!スーパーには並ばないかもしれませんが、ちょっとした市場に行けば稀に売ってます。

お店に卸そうにも1個や2個在庫があっても困るお店が多いので、そんな場合はポツンと置いてあります。

バーベキューをする際の買い物には間違い無く見に行き、あれば必ず買います!(笑)

カマとかお肉の骨周りってかなり火が通り辛いので、家でも匂いとか大きさの問題も合わさり敬遠されるのですが、そこはなれたもんですよ!

カマのお肉の部分に隠し包丁を入れてアルミホイルで包んで網の上に放置!火が通ったら皮の部分をパリッと焼き上げ、皿に骨以外全て取り出し用意しておいた大根おろしと刻み葱、ポン酢を豪快に乗せる…次にする事は口の中に運ぶ事。

それ以外にありますか?

ビール飲みたくなってきた!!

 

今回鮪についてお話させて頂きました!

今、中国や台湾も和食ブームを経て冷蔵技術の向上と相まって鮪はもちろん、他の魚貝類も需要が上がって日本では価格が高騰しています。

秋刀魚が高級な食材になると誰が思いましたか?

100年前の人間が、鮪がこれ程崇め立てられるとは思いもよらなかったでしょう。

敷かれたレールの出世魚は沢山種類がありますが、最底辺の誰も食わねぇと言われていたこの魚こそが本当の出世魚なんだと思います。まるで希望の星です。

食は時代に合わせて進化しています。

次の100年後、どの食材が世界をジャックするのか楽しみです。

そういえば「希望」という意味を持つ花に雲南月光花ってのがあるみたいですね!

星の砂を散りばめてもあの頃には還れませんが、

逢いたくて 愛おしくて

触れたくて 苦しくて

そんな気持ちにさせてくれる希少な鮪達。

届かない 伝わらない

叶わない 遠すぎて

食べたくても高級で中々手が出ません…人気すぎですよ。

今はもう 君はいないよ

本当に食べられなくなるその日まで愛し続けましょう!

こんなにも我々の心を鮪に支配…言うなれば

ブラック・ジャック

されるなんて思いませんでしたよ。

 

あなたがもし鮪を召し上がる時にこの下剋上系魚類の事を誰かに伝えてくれたら幸いです。

その時相手の反応はきっと

「アッチョンブリケ!」

って言うわけないんですけどね…ある訳ねぇだろ!!

そう言われた方がアッチョンブリケだよ!

 

ヲタ飯あれ!!

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料理人として伝えたい事

楽しいお食事を!!

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